こんにちは!
歯科衛生士の田村です。
今回はドライマウス、いわゆる”口腔乾燥”についてです。
常に口が乾いている方
ふとした時に口が乾いてるなと思う節がある方
どちらにも共通して改善方法はあります。
ドライマウスとは?
ドライマウスとは、いわゆる口腔乾燥のことです。
お口の中には常に唾液がありますが
唾液が少なくなり、お口が乾いてしまうことです。
ではなぜそれが、ダメなのか?
口腔乾燥を改善させなくてはならない理由
お口の中は粘膜で出来ています。
体に入るものは全て、口から入ります。
粘膜がむき出しの状態では傷ついてしまいます。
このとき唾液があると傷がつきにくくなり
また傷が出来てもすぐ治してくれます。
食べ物も噛みにくくなるので
食事がしずらくなり、飲み込みも難しくなります。
お口の中には常に菌が住みついています。
その菌を唾液は流していてくれていますが
唾液がなく乾いた状態では菌は増え続けていきます。
これらはとても深刻な問題で
特に高齢の方は唾液が出にくくなります。
筋肉の衰えによる飲み込みの困難に加え
唾液も少ないと摂食としての機能が難しくなります。
まず、こういった点で
唾液は生きるための食事に大きく関わってきます。
「 よく噛んで食べなさい! 」
誰もが一度は聞いたことがあるはずです。
本当にその通りなのです。
お口は最初の消化器官です。
唾液には消化酵素が入っています。
よく噛みしっかり飲み込むことで消化を助け
よく噛むことで唾液もたくさん出て
満腹中枢も刺激されるので食べ過ぎも予防します。
唾液の重要性はわかっても
出そうと思った時にでるものではありません。
食事や会話など、外からの刺激がない限り
唾液が勝手に出てくることはありません。
ですが、唾液が少ない状態での食事では効果は得られません。
なので食事の前にやっておいて欲しいマッサージを紹介します。
ドライマウス(口腔乾燥)を改善させるマッサージ
①耳下腺
耳下腺は、耳の下とありますが実際は頬あたりのことです。
上顎と下顎の付け根が丁度耳の下の延長にあります。
頬骨の下辺り。女性だとチークを乗せる下辺りです。
ここを優しく、少し押しながら内側と外側にクルクル…
唾液が多い方はこれだけでも沢山出ます!
②顎下腺
顎下腺は顎というより、エラの裏側です。
こころ人差し指や親指を使って
少し圧をかけながらグリグリと押します。
③舌下腺
舌下腺は、舌の下(裏側)にあるので
顎先の下(裏側)に親指を上向きで当て
圧をかけながら前後に動かします。
ここはとても分かりやすく唾液がでるので
口腔乾燥の方にはまず、ここを刺激し唾液がしっかり
出ているかを確認することもあります。
唾液の働き
唾液にはこんなに沢山の作用があります!
消化作用
👉唾液の成分であるアミラーゼによる
デンプン質の消化を助ける。
洗浄作用
👉粘膜や歯の表面を唾液が覆うことで
食べ物などが粘膜や歯に付着することを防ぐ。
抗菌作用
👉唾液に含まれる酵素や抗菌物質、分泌型抗体(IgA)等の
抗菌因子が抗菌作用を示す。
潤滑作用
👉粘膜や歯の表面を覆って口腔内に潤いをもたせる。
咀嚼、嚥下、発音の働きを助ける。
緩衝作用
👉口腔内のpH(環境)を中性に保つことで
むし歯になりにくい環境を保ってくれる。
粘膜保護作用
👉唾液の成分であるムチンの働きで
さまざまな刺激から粘膜を保護する。
咀嚼の補助作用
👉食べ物を噛むときに歯や頬につかず
食べ物が飲み込みやすいようにまとめる。
排泄作用(溶解作用)
👉マクロライド系の薬物が体内に投与された時
抗菌剤などの薬物の一部は唾液中に排泄され
血中の薬物濃度を下げてくれる。
このように唾液には人が生活する為に必要な
食事や会話を助けてくれる
なくてはならない働きをしてくれます。
産まれたときから、人は口から
モノをいれエネルギーとして生きています。
当たり前になっている食事には
これだけの働きが必要で
それを唾液は全て補ってくれているのです。
まとめ
口腔乾燥は薬の影響や体調、ストレスなどでも
起こりますが加齢と共にもなりやすくなります。
健康な成人であっても睡眠時は唾液は少なくなります。
普段からの生活で
食事ではよく噛み、人とはよく話し
唾液腺を活発にすることが予防の一つになります。
よく噛むことは
顎の筋肉を鍛え、満腹中枢を刺激し、脳にもいい影響を与えてくれます。
よく話すことで
表情筋を鍛え顔にハリをもたせることも。
また高齢の方には認知症の予防にも繋がります。
唾液の為にすることは
全身の健康の為にもなります。
このように唾液ひとつ取っても
お口の健康が全身の健康に繋がるということが分かります。
お口の働きは瞬きをすることのように
自然に行っているので大切さや価値に気づきにくく
失って初めて気づくのです。
失った歯や削った歯は
どう治しても元の歯より劣っています。
大切な歯を守っていてくれている唾液が
減ってしまうとむし歯や歯周病どころではなく
食事でさえ、難しくなります。
ささいな体の変化には
お口が関わっているかもしれません。